発想をカタチに。「未来をつくる」言葉のつくり方とは

あなたに「ビジョン」はあるか?
「起業したけど明確なビジョンが決まらない」「新規事業を任されたけど新しいコンセプトが浮かばない」「自分の生き方のビジョンが曖昧だ」
このように、ビジョンやコンセプトなどの「物事の本質を設計」することに苦心する人は少なくはないはず。
それにも関わらず、今まであまり体系だって説明されてこなかったビジョンやコンセプトなどの「未来をつくるための作法」を学べるのが本書「未来は言葉でつくられる」だ。
ものごとの「骨格」を設計し、頭のなかにしかなかった「発想」を言葉という道具を媒介にして「現実」に変えていくプロセスを学ぶことができ、スティーブ・ジョブズやビルゲイツ、ディズニーなど「未来を発明した」先人達の頭のなかを追体験できる刺激的な一冊。
言葉で未来をつくるポイント
"未来をつくる言葉"が必要な理由
"ビジョナリーワード"が発想を現実にかえた
"ビジョナリーワード"をつくる4つのステップ
「未来をつくる言葉」が必要な理由
起業家や新規事業・新商品開発に携わる人、自分の夢を叶えたい、という人にとって周囲の力を借りることは必要不可欠。
なぜなら、人々を巻き込み、そのスキルを集約することで自分一人の力では成し得ない「理想の未来」を実現する可能性が高まるから。
理想の未来を掴むためには、自分の頭のなかにあるイメージを「適切な言葉」で紡ぎ、「未来を語る言葉」として人々に共有することが必要だ。
あなたの頭のなかは誰も覗けるはずもなく、自身で言語化しないと、「あなたの見たい未来」は誰にも伝えることができない。
アップルや、グーグルのような「魅力的な組織をつくりあげていく言葉」は、構想する本人が紡ぐしかありません。頭の中を他人は(少なくとも現時点では)覗けない。
だからこそ、自身の「想像の中の未来」を鮮やかに言い当て、掲げることで「目的地」が明確になり、メンバーやユーザー、あなたを応援してくれる人々を動かすツールとなるのだ。
「ビジョナリーワード」が発想を現実にかえる
本書では「想像の中の未来」を言語化した、いわば「未来への骨格」を「ビジョナリーワード」と読んでいる。
ビジョナリーという言葉は、「先見の明がある」や「洞察力がある」など、「将来を予測する」という文脈で捉えられがち。
しかし、ビジョナリーとは本来「未来予測」ではなく「未来をつくり出すこと」で、そこには本人の「意思」があるものだというのが本書の主張だ。
ビジネスで使われる「ビジョン」という言葉が意味するものは、本来、世の中を眺めていて勝手に見えてくるような風景ではない。むしろ、「こんな未来にしたい」という意思の中にある風景を意味するという。
「ビジョナリーワード」の例として、スティーブ・ジョブズの「僕たちはエンジニアじゃなくてアーティストなんだ」という言葉が本書内で紹介されている。
この言葉が、アップルを「最高の技術力を備えたエンジニア集団」ではなく「プログラミングができるアーティスト集団」とその価値を定義することで、ジョブズの「発想」を「現実」のものへと変える原動力となったのだ。
アーティストとして自分たちを定義することで、批評家や顧客の言いなりになる態度を拒絶。その代わりに、周囲の想像を超えることや、人をあっと驚かせることは何かを考え続ける風土を生み出した。
この後、「Think Different」というスローガンが生まれ、アップルがイノベーティブな会社として世界を驚かせたのは周知の通り。
「ビジョナリーワード」は必ずしも特別な人だけがつくるわけではない。
そうではなく、「ビジョンを語り」、「人を巻みこみ」、「それを実現した人」が特別な存在になっていったと言う。
では、特別な存在ではない僕たちが、どうすれば「ビジョナリーワード」をつくることができるのか?
「ビジョナリーワード」をつくる4つのステップ
本書では、人を惹き付けるビジョナリーワードは、「理想の未来」へまるでタイムスリップをしたかのような鮮明さがあるという。
よくできたビジョナリーワードは、「未来からの絵ハガキ」に喩えることができます。その人だけが数十年後屁とタイムスリップし、まるでそこから現在へ一枚の写真を送ったかのように、鮮明で魅力的な風景を見せる。そんな言葉になっているのです。
この「未来からの絵ハガキ」をつくるための、4つのステップを紹介しよう。
1、現状を疑う(本当にそう?)
ビジョナリーワードを生み出す第一歩は、「現状を疑う」ことから始まる。アイディアの発想法でもよく耳にすることだが、実践できている人は少ないかもしれない。まずは、日常で感じる「違和感」を大切にし、「疑問」のアンテナを常に張り巡らせよう。
普段の生活やビジネスシーンの中で「本当にそう?」と問いかけ、常識や慣習にヒビを入れること。何かおかしいのではないか?という疑問や、もっといい方法があるのではないか?という不満こそが、まだ見えていない未来への入り口をつくるのです。
常識を疑うクセをつけるために、「疑いの視線を毎日のさまざまなもの」にぶつけ、自ら「気づき」を積極的に生み出す必要がある。
本書の例では、アップルは「コンピュータは便利ならそれでいい。本当にそう?」
という常識への「疑い」からビジョナリーワードが生まれたと言う。
2、 未来を探る(もしも?)
現状や常識に対する疑いから気づいたことをもとに、「理想的な未来」を探るのが次のステップ。
「もしも?」 という問いかけを繰り返すことで、未来をさまざまな角度から眺め、商品やサービスや組織や自分自身の可能性を探っていくといいそうだ。
本書のアップルの例では、「もしも、美しいコンピュータがつくれたなら?」とあるように、さまざまな角度から「もしも〜なら?」と考えることが発想に自由を与え、常識にとらわれない「ビジョナリーワード」の原型が生み出せる。
3、 言葉をつくる(つまり?)
起業家の「ビジョン」、新しいプロダクトの「コンセプト」、自身の「将来像」などその断片がステップ2でぼんやりと見え始めたことだろう。
次のステップでは、こうした曖昧な「妄想」を、「つまり?」に答えられる「シャープ」で「解像度」の高い言葉へとブラッシュアップしていく。
まだ世に存在しない何かを言い当てようとするとき、それに相応しい言葉もまだ世の中にはありません。必ず新しい言葉の使い方や、組み合わせや、まだ誰も言っていない言い回しが必要となる。
詳細は文字量の都合上、詳細は割愛するが、本書では新しい「ビジョナリーワード」をつくるための5つの技法(「呼び名を変える」「ひっくり返す」「喩える」「ずらす」「反対を組み合わせる」)も紹介されている。
アップルの例で言えば、「エンジニアじゃなくてアーティスト」という表現は「呼び名を変える」ことで、新しい価値を生み出した。
4、 計画をつくる(何のために?)
「未来をつくる言葉」は生み出すだけではなく、それを手段として、人々を巻き込み「理想の未来」を「現実」へと変えることが目的。
ステップ3でつくった言葉を、チームや組織の行動を導くための「計画」へと落とし込む。
多くの企業で経営ビジョンと呼ばれるものが、ただの飾り言葉となり、せいぜいPRで使われる上辺だけの言葉にしかなっていないのは、掲げられたビジョンと、それを叶えるための計画や行動が噛み合ってないせいだと考えられます。
地に足の着いた「理想の未来を設計し、そこから逆算して現在の行動に落とし込む」ことを心がけよう。
本書から学ぶVISIONの描き方
人やモノが「コモディティ化」していく時代。これからまずます、新しい価値を生み出す人やプロダクトが求められてくるだろう。
多くのビジネス書では、同じ「言葉」というテーマでもコミュニケーションやビジネス文章の正しい書き方など、テクニックに寄ったものが多いが、それだけでは、新しい価値は生み出せない。
本書から、ビジョンやコンセプトなど「未来をつくる言葉」の本質を学び、同士を巻き込んで、21世紀をつくっていこう。
